旅の終着点である北海道・稚内のオホーツク海。北と彩女は、念願であった最高級の蟹を口にします。極限状態の中で味わう蟹の美味さは、皮肉にも二人の肉体に強烈な「生命の拍動」を呼び起こしました。
蟹を食べ終えた後、約束通り彩女は一人、凍てつく荒波に向かって歩みを進めます。しかし、彩女の背中を追った北は、冷たい海へ飛び込み彼女を抱き留めます。「死ぬのは怖い、もっと生きたい、あなたと一緒に生きて蟹を食べたい」と魂の叫びをぶつける北。その熱量に触れた彩女の瞳から涙が溢れ、二人は心中を思いとどまります。
その後、北は逃亡生活を終えるため警察に自首します。自らが犯した強盗未遂と不法侵入の罪を償うためです。裁判を経て服役した北は、数年後に出所。刑務所の門を出た彼の前に立っていたのは、穏やかな笑みを浮かべた彩女の姿でした。二人が再び手を取り合い、新しい人生を歩み始めるシーンで物語は幕を閉じます。
【深掘り比較】原作漫画(全8巻)とテレビドラマ版の演出差
Gino0808による原作漫画は、講談社『ヤングマガジン』および『ヤンマガWeb』で連載され、累計閲覧数や単行本売上で極めて高い実績を残しました。原作では人間の持つ生々しい性衝動や暴力性、心理描写のドロドロとした暗部が克明に描かれています。
一方、テレビ東京のドラマ版では、内田英治監督特有の詩情豊かなロードムービー演出が強調されました。東北から北海道ロケを敢行した雄大な自然美と、冷え切った空気感が映像からダイレクトに伝わり、性的描写をエロスのみにとどめず「魂の救済の儀式」として昇華させています。結末の大筋は原作を尊重しつつも、ドラマ版はより「二人の心の通底と希望」に焦点を当てた余韻の残る構成となっています。