メリットが際立つ幸区ですが、検討者が契約前に絶対に把握しておくべき構造的リスクが「水害に対する脆弱性」です。ネット上でも「川崎市幸区は水害に弱いのではないか」という懸念が度々取り沙汰されますが、これは地形学的な事実に基づいています。
川崎市が公開している最新の洪水ハザードマップを確認すると、幸区の大部分は多摩川および鶴見川の氾濫時における「浸水想定区域」に指定されています。想定最大規模の降雨(24時間総雨量690mm以上)が発生した場合、多摩川沿いの低地部では1.0メートルから最大3.0メートル(2階床上浸水レベル)の浸水が予測されているエリアが広範に存在します。
2019年の台風19号(令和元年東日本台風)では、多摩川の水位上昇に伴う内水氾濫により武蔵小杉周辺のタワーマンションが浸水被害を受けた事例が記憶に新しいところです。幸区内でも下平間や小倉周辺の一部で内水による道路冠水が発生しました。その後、川崎市は排水樋管への逆流防止ゲート設置や雨水貯留管の増設工事を急速に進め、治水インフラは大幅に強化されましたが、自然災害のリスクをゼロにすることはできません。
幸区で物件選びを行う際は、以下の3点を徹底して確認することが不可欠です。
- 階数の選択:マンション購入・賃貸時は、浸水想定深を上回る「3階以上」を選択することを基本とする。
- 電気設備の配置:受変電設備や非常用発電機が地下ではなく2階以上の高所に設置されているか(または止水板等の防水対策が講じられているか)を確認する。
- 地形の微細な高低差:加瀬山周辺の高台(南加瀬・北加瀬の一部)と低地部では浸水リスクが完全に異なるため、ピンポイントでのハザードマップ照合を行う。