世間を騒然とさせた事件の深層を探るべく、当取材班は当時から球界関係者への粘り強い聞き取り作業を進めてきた。ネット上で無数の尾ひれがつき、一人歩きした疑惑の数々。だが、取材で浮き彫りになった事実は、単なる男女問題というステレオタイプな文脈とは大きく異なるものだった。
「報道の第一報が出た際、世間が受け取った印象と現場の構図には決定的なギャップがあった」と、ある球団関係者は重い口を開く。当初、週刊文春スクープを起点として表面化したトラブルの実情は、チームメイトの妻が関与したとされる匿名アカウントからの度重なる中傷被害という、極めて異例かつ過酷な泥沼劇だった。選手本人の倫理観を問う声以上に、プロアスリートの家庭が直撃を受けた心理的暴力の爪痕はあまりにも深い。