海外のディスカッションフォーラム(Redditなど)や軍事コミュニティにおいて、頻繁に議論を呼ぶテーマの一つが「なぜF-15には1人乗り(単座)と2人乗り(複座)が存在し、最新鋭機でも2人乗りが重視されるのか?」という疑問です。
航空自衛隊が運用するF-15には、単座型の「F-15J」と複座型の「F-15DJ」があります。F-15DJの後席は、基本的に前席とほぼ同様の操縦系統(操縦桿、スロットル、ラダーペダル、主要計器)を備えており、新田原基地飛行教育航空隊での新人パイロット育成や、小松基地の飛行教導群(アグレッサー部隊)での高度な戦技指導に用いられています。教官は後席から前席の操作を完全にオーバーライド(優先介入)できる設計になっており、操縦ミス時の安全確保が図られています。
一方で、米空軍のストライクイーグル(F-15E)や最新のF-15EXにおける後席は、操縦訓練とは全く異なる「WSO(Weapon Systems Officer:兵装システム士官)」のための専用ステーションです。
- 高度な戦術分担:超音速で飛行・回避機動を行う前席パイロットに対し、後席のWSOは長距離空対地ミサイルの精密誘導、対空レーダーの広域走査、電子妨害装置(ECM)の運用に専念します。
- ドローン(無人僚機)の管制:F-15EXでは、将来的に協調飛行する無人戦闘機(CCA)を後席から統制する構想が進んでおり、情報処理端末としてのコックピット機能が極大化されています。
- 認知的過負荷の分散:現代の戦場ではデータリンクから送られてくる情報量が人間の処理限界を超えるため、2名のクルーで認知リソースを分担するアプローチが極めて有効とされています。
F-15DJの後席は前席より約48センチメートル高い位置に配置されており、前席パイロットの頭越しに良好な前方視界が確保できるよう人間工学的な段差設計が施されています。