松岡依都美とピエール瀧という並びに熱い視線が注がれる最大の理由は、2013年公開の映画『凶悪』(白石和彌監督)における壮絶な共演にあります。同作でピエール瀧が演じたのは、凶暴極まりない死刑囚・須藤雄二。そしてその須藤を盲目的に支え、破滅的な日常を共にする内縁の妻・遠藤理恵役を務めたのが松岡依都美でした。
獄中の須藤と面会室のアクリル板越しに対峙するシーンや、暴力と狂気に満ちた回想シーンで見せた二人の掛け合いは、演技の枠を超えた生々しさを放ち、当時の映画賞レースや評論家筋から絶賛を浴びました。理不尽な暴力に怯えながらも離れられない複雑な情念を体現した松岡依都美の凄みは、観客の脳裏に「ピエール瀧のパートナー」としての強烈な残像を刻み込むことになります。
そして時を経て、2026年に社会現象を巻き起こしたNetflixシリーズ『地面師たち』(大根仁監督)で再び二人は同一プロジェクトに名を連ねました。ピエール瀧が演じる法律屋・後藤と、松岡依都美が怪演したターゲットの尼僧・川井菜摘。直接的な絡み以上に、作品全体の不穏なリアリティを底上げする「劇薬キャスト」として双璧を成し、再び二人の関係性にスポットライトが当たる決定打となりました。