芸能人プロデュースのアパレルと聞くと、デザイン画の最終確認や着用モデルのみを担当する「名前貸しビジネス」を想起する人が少なくありません。しかし、小嶋陽菜 プロデューサーが2018年に立ち上げたHer lip toの成功要因は、その真逆にある徹底した現場主義とディレクションの深さにあります。
彼女は創業当初から自ら生地選びやサンプルチェック、ミリ単位のシルエット修正に立ち会い、女性の体を最も美しく見せるカッティングに執念を注いできました。特に代名詞となったチェリー柄ワンピースや、体のラインを補正しつつ上品に見せるマーメイドスカートは、骨格診断やパーソナルカラーを意識する現代女性のニーズに完璧に合致しました。
加えて、SNSを活用したマーケティングが秀逸でした。単に商品を並べるのではなく、「この服を着てどこへ行き、どんな体験をするか」というストーリーを自身の日常と重ね合わせて発信。ファンは「洋服そのもの」だけでなく、小嶋氏が提示する洗練された「ライフスタイルへの入場チケット」として商品を購入する心理構造が形成されたのです。