「レシピ通りに時間をかけて茹でたのに、舌がピリピリするようなえぐみが取れない」という相談は、料理相談サイトやSNSでも毎春のように散見されます。調査の結果、失敗してしまう家庭の8割以上が「茹で上がった直後にザルにあげて水で洗ってしまう」という致命的なミスを犯していることが判明しています。
たけのこの茹で汁をそのまま冷ます理由は、浸透圧とアクの再結晶化防止にあります。加熱によって組織の外へ溶け出したシュウ酸などのアクは、茹で汁の中に浮遊しています。高温の状態で急激に空気に触れさせたり冷水に浸したりすると、たけのこの組織が急激に収縮し、表面に残ったアクを内側に吸い戻してしまうのです。
鍋の火を止めたら蓋をしたまま、完全に常温になるまで半日〜一晩かけてゆっくりと熱を冷まします(徐冷)。この緩やかな冷却プロセスの間に、米ぬかの旨味と水分が組織の奥深くまで浸透し、繊維が落ち着いてえぐみのないまろやかな食感が完成します。「加熱時間と同じくらい、冷ます時間が重要である」という事実を忘れてはなりません。