80年代末から90年代にかけて、彼は空前のトレンディドラマブームの中心にいた。クールな眼差しと圧倒的な存在感。若者のカリスマとして時代の風を一身に受けていた。日本テレビの爆発的ヒット作『家なき子』で見せた印象的な演技、TBSテレビを代表する傑作ヒューマンドラマ『未成年』での葛藤を抱えた青年役、さらには『サラリーマン金太郎』で見せた重厚な立ち振る舞い。当時のテレビ局が誇る看板枠には、常に彼の姿があった。
しかし、本人は冷めた目でもう一人の自分を見つめていたという。芸能界という場所は、他人が作った台本の上で踊る世界だ。人気は水物であり、時代の移ろいとともに提示される役柄も変わる。「自分の人生の主導権を、本当に自分が握っていると言えるのか」。華やかなスポットライトの裏側で膨らんでいた疑問が、後の大転換への伏線となっていた。