「マラ・サルバトゥルチャ(MS-13)」という名は、中米のストリートで長年、死と隣り合わせの恐怖を象徴してきた。1980年代のカリフォルニア。苛烈な差別と路上での暴力を生き抜くため、若き難民たちは拳を握った。だが、その結束は瞬く間に変質する。やがて彼らは、同郷の勢力や縄張りを争う宿敵「18番街(Barrio 18)」との流血惨事を繰り広げ、街を戦場へと変えていった。
刃物や自動小銃を用いた無差別とも言える残虐な襲撃スタイル。その冷酷さは瞬く間に全米を震え上がらせ、連邦捜査局(FBI)が最重要国際犯罪組織の一つとして指定する事態に発展した。送還された幹部たちはエルサルバドルの刑務所内部から組織を再編。国家の警察機構すら脅かす「影の政府」へと成長していったのだ。