体内に侵入した病原体と戦う主役は、生体に備わった「免疫システム」だ。異物を即座に攻撃する自然免疫(マクロファージや好中球など)と、侵入者の特徴を記憶してピンポイントで抗体を作り出す獲得免疫(T細胞、B細胞など)が連携して体を守っている。免疫とワクチンの仕組みは、無毒化・弱毒化した病原体やその遺伝情報の一部をあらかじめ体内に見せることで、重篤な発症を伴わずに獲得免疫を訓練する安全策にほかならない。
さらに医療の最前線では、最新の感染症治療法が急速に進化している。次世代型mRNAワクチンは変異株への迅速な対応を可能にし、重症化リスクの高い患者に向けた「モノクローナル抗体製剤」やウイルスの複製酵素を直接ブロックする経口治療薬の開発が進む。細菌分野においても、抗生物質が効きにくい耐性菌を特異的に攻撃するウイルスを利用した「ファージセラピー」や、抗菌ペプチドを用いた新薬の研究が本格的な実用化フェーズに入りつつある。