皮膚の表面を指で触れたとき、わずかに盛り上がりを感じる点状の赤い発疹。医学的に「触知可能な紫斑(Palpable Purpura)」と呼ばれるこの症状こそが、IgA血管炎の決定的な鑑別点です。一般的な点状出血とは異なり、指で圧迫しても赤みが消えない特徴を持っています。
日本赤十字社福岡赤十字病院や各大学病院の診療データによると、本症は過去にヘノッホ・シェーンライン紫斑病(Henoch-Schönlein purpura)あるいはアナフィラクトイド紫斑病、血管性紫斑病など多様な名称で呼ばれてきました。しかし2012年の国際的なチャペルヒル会議(CHCC)において、病態の本質が「IgA1と呼ばれる抗体の血管壁への沈着」にあることから、正式名称として「IgA血管炎(IgA vasculitis)」へと統一されています。
気になるIgA血管炎 原因について、日本小児腎臓病学会や日本リウマチ学会の研究発表では、完全な単一因子は未解明とされつつも、明確な発症契機が存在することが判明しています。患者の約50〜75%において、発症の1〜3週間前に溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)やアデノウイルス、マイコプラズマなどによる上気道感染症(風邪や咽頭炎)にかかっていたことが確認されています。外敵を排除するために作られたIgA抗体の構造に異常(糖鎖不全)が生じ、過剰な免疫複合体を形成して皮膚や腸管、関節、腎臓の毛細血管壁に沈着。そこへ補体や白血球が集まることで微小血管炎を引き起こし、血管が破綻して局所的な出血や壊死を招く構造です。