没後50年以上が経過した現在でも、山下清の人気は衰えるどころか、新たな美術的再評価の波が広がっています。生誕100年記念の大規模巡回展を経て、現在も全国各地の公立美術館で山下清の作品展・展覧会が定期的に企画され、連日多くの美術ファンを集めています。
展覧会場で間近に見る本物の貼り絵は、印刷物や画面越しでは決して伝わらない凄まじい立体感と執念に満ちています。使用されているのは、高価な和紙ばかりではありません。旅先や日々の生活の中で集めた広告チラシ、包装紙、切手、タバコの銀紙などを指先で細かく千切り、気の遠くなるような密度で貼り重ねられています。
代表作『長岡の花火』『東海道五十三次』『スイスの街並み』などに見られる、光と色彩の調和。ドラマのコミカルなキャラクター像の奥にある、純粋で妥協のない「本物の芸術家」としての凄みは、今を生きる私たちの心に深く突き刺さります。