日本野球の尊厳を懸けて挑んだ2006年の第1回大会。王貞治が注ぎ込んだのは、球聖としての気品と退路を断つ執念だった。「世界一以外は意味がない」という無言のプレッシャーの中、イチローらの奮闘を手伝いに奇跡的な逆転優勝を果たした。日本野球機構(NPB)の歴史にとっても、国際大会の価値と選手派遣の意義が根本から変わる歴史的転換点となったのだ。
そのバトンを受け取った原辰徳の采配もまた、語り継がれるべき傑作である。大会直前の主力離脱や辞退者続出という逆風を吹き飛ばし、決勝の延長戦で見せたあの冷徹な決断。プレッシャーに押し潰されそうなベンチを「サムライの誇り」で鼓舞し続けた原の強い意志が、世界連覇という金字塔を打ち立てた。