市立福山には、私立強豪校のような専用の野球場も無制限の練習時間もない。内野の土をサッカー部や陸上部と分け合い、外野フェンスの向こう側では他部活の生徒が声を掛け合う。そんな日常の風景の中で、彼らは「いかに短い時間で最大の効果を生むか」を突き詰めてきた。
平日の練習時間はわずか2時間弱。チームが導入したのは、タブレットを活用したフォームの即時フィードバックと、球速・回転数を数値化するトラッキングシステムだった。無駄なノックや長時間のバッティング練習を廃し、一球一球の意図を明確にする短時間集中型のメニューへ転換。限られた環境こそが、かえって選手の思考力を研ぎ澄ませる結果となった。