作中で長らく最大の伏線として機能していたのが、ナギの亡き母・三千院紫子とマリアの容姿や立ち振る舞いの類似性です。読者の間では「生き別れの姉妹」「クローン説」まで浮上したほどでした。
実際のところ、三千院紫子とマリアの間に血縁関係はありません。幼少期のマリアに出会った紫子がその知性と純粋さに惹かれ、まだ幼い娘のナギを託す存在として家族同然に迎え入れたのが真相です。紫子の面影を感じさせたのは、紫子から注がれた愛情と教えをマリアが大切に受け継ぎ、無意識のうちにナギを守る母親代わりとしての役割を全うしていた証でした。出生時の母親の手がかりすら持たない孤独な少女が、三千院の屋敷で本物の家族愛を育んでいた経緯は、本作屈指のエモーショナルなポイントです。