読者の混乱を招きやすいもう一つの重大要素が、大筒木モモシキの存在と「楔(カーマ)」の浸食です。中忍試験編のラストにおいて、ボルトはナルトとの超大玉螺旋丸でモモシキを撃破した直後、時が止まった精神空間でモモシキと対峙しました。「神を倒した者はもはやただの人間ではいられない」「その青き瞳は、いずれ貴方から全てを奪い去る」という不吉な予言とともに、ボルトの右掌には黒い菱形の印・楔が刻み込まれました。
ここで厳密に区別すべきなのは、「モモシキの意識が表層化した際に出現する白眼」と、「ボルト自身の魂に宿る浄眼」は全く別個の代物であるという事実です。
ボルトが危機に陥り、楔の解凍が進んで肉体の主導権をモモシキに奪われた状態(通称:ボロシキ)では、頭部右側から角が生え、右目には筋張った血管とともに「モモシキ由来の白眼」が浮かび上がります。これは大筒木のデータが肉体を上書きするプロセスに伴う器官の発現であり、強膜が黒く染まる浄眼とは瞳の構造そのものが異なります。
モモシキ自身もボルトの運命を予言しながら、ボルトが持つ潜在的な瞳の力に対して底知れぬ警戒を抱いていました。モモシキによる肉体の乗っ取りに対抗し、彼が持つ未来予知めいた大筒木の宿命を打ち破るための唯一の防壁こそが、皮肉にもボルト自身の右眼に眠る浄眼であるという構図が浮かび上がってきます。