金子哲雄氏がメディアで見せた最後の姿は、テレビとラジオの双方において語り草となっています。彼がトレードマークだった恰幅の良さを失い、急激に痩せ細っていく姿はお茶の間に大きな衝撃を与えましたが、本人は病床にあってもジャーナリストとしての活動を一切止めようとしませんでした。
テレビ番組における最後の姿として広く知られているのが、レギュラーとして出演していたフジテレビ系『ホンマでっか!?TV』や、読売テレビ・日本テレビ系『情報ライブ ミヤネ屋』です。2012年夏、『ホンマでっか!?TV』の生前最後の収録では、声の張りを保ちながらも頬がこけた姿が映し出され、視聴者から体調を案じる声が殺到しました。同時期に出演した『ミヤネ屋』でも、司会の宮根誠司氏をはじめとする共演者が異変を感じ取りながらも、金子氏本人が「流通の現場」を熱く語る姿勢を崩さないため、プロとしてその場を成立させていた経緯があります。
そして、大衆に向けた生前最後の肉声が記録されたのは、逝去のわずか数日前となる2012年9月下旬のラジオ番組(文化放送『くにまるジャパン』)での電話出演でした。自宅療養中で呼吸器を装着しなければならないほど病状が悪化していたにもかかわらず、金子氏は受話器を握り、驚くほど滑らかで明瞭なトーンで最新の流通ニュースを解説したのです。息苦しさを微塵も感じさせないその声は、スタジオのパーソナリティすら「自宅で療養中の一環」と信じ込ませるほど完璧なプロの語りでした。電話を切った直後、肩で息をしながら倒れ込んだという現場の証言は、彼が最後まで「現役の表現者」であり続けた動かぬ証拠です。