本作『ポニーテールはふり向かない』が、放送から40年近く経過した今もなお多くの視聴者の記憶に焼き付いている理由は、単なる奇抜な演出にとどまらない演者たちの圧倒的なリアリティにあります。
手の皮が剥けるまで叩き続けた伊藤かずえの気迫
主人公・麻生未央を演じた伊藤かずえは、当時ドラムの演奏経験が一切ない状態から撮影に突入しました。後年の回想インタビューや特番で本人が語ったところによると、撮影の合間や移動時間すら惜しんで練習用パッドを叩き続け、「手のひらに血豆ができては潰れ、テーピングを何重にも巻いて本番のスティックを握っていた」という壮絶なエピソードが残されています。
劇中で見せる鬼気迫るドラムソロやバンド演奏シーンは、吹き替えスタントに頼り切らない生々しい身体性が宿っており、それが作品全体の説得力を支えています。
小比類巻かほるによる名主題歌『Never Say Good-Bye』
ドラマのオープニングを飾る小比類巻かほるの『Never Say Good-Bye』は、孤独と理不尽に抗うヒロインの心情をダイナミックなハスキーボイスで歌い上げた名曲です。芥川隆行による重厚なオープニングナレーション、激しいドラムビート、そして小比類巻の力強いボーカルが重なる導入部は、大映テレビの黄金期を象徴する完成度を誇ります。
豪華キャスト陣の現在と当時の強烈なアンサンブル
本作には、大映ドラマの常連俳優たちが顔を揃えています。未央を支える不良青年役の松村雄基、ライバルや複雑な人間模様を演じた坂上忍、鶴見辰吾、梶芽衣子、国広富之ら実力派キャストの若き日の熱演は圧巻です。
現在も情報番組の司会や舞台、映画の第一線で活躍し続ける彼らが、過剰なまでの情熱を込めて演じ切った台詞の応酬は、現代の抑制されたドラマ演出にはない強烈なカタルシスを与えてくれます。