ネット上の特撮フォーラムやSNSでは、桜島1号のカラーリングについて「倉庫に眠っていた旧1号スーツが放置され、スーツの経年劣化で変色しただけではないか?」という俗説がまことしやかに語られることがあります。しかし、当時の造形スタッフや関係者の証言を丹念に追うと、まったく異なるカラーリングの真相が浮かび上がってきます。
当時、造形を担当していたエキスプロダクションの現場証言や記録によると、旧1号のスーツは第13話以降、アクション用やイベント用として酷使されており、塗装の剥げや革の傷みが激しい状態でした。九州ロケという大一番の本郷猛復帰劇にあたり、スタッフは傷んだスーツを補修し、現場で意図的に再塗装(リペイント)を施したことが分かっています。
なぜここまで暗い濃緑色に塗られたのかについては、主に2つの現場的要因が指摘されています。1つ目は、南九州の強い自然光や桜島の荒涼とした茶褐色の溶岩バックで撮影した際、明るい淡緑色では画面上で色が飛んで弱々しく見えてしまうのを防ぐため。2つ目は、当時すでに定着していた仮面ライダー2号(明るいトーンのグローブとマスク)と並んだ際に、本郷猛の「海外で過酷な戦いを生き抜いてきたベテランの凄み」を視覚的に際立たせるための演出意図です。
つまり、桜島1号のダークな色彩は、単なるアクシデントや劣化の産物ではなく、過酷なロケーションとヒーローの復帰劇を最高のものにしようとした現場スタッフの熱意と試行錯誤が生んだ「計算された必然」だったのです。