長年ファンの間やネット上で議論されてきたのが、「東京ドームはホームランが出やすい」「特定の風が吹いて打球を押し戻している、あるいは運んでいる」という説です。この東京ドームの空調・風の噂の真相と、東京ドームでホームランが出やすい理由について、構造面と物理的要因から検証します。
まずホームランが出やすい構造的要因として挙げられるのは、外野フェンスの形状です。東京ドームの両翼は100メートル、中堅は122メートルと国際規格を満たしていますが、左右中間(ふくらみ)のラインが比較的直線的であり、他の屋外球場と比べてフェンスまでの実質的な距離が短めである点が挙げられます。また、外野フェンスの高さも一般的なスタジアムの標準的な範囲に収まっているため、角度のついた長打がスタンドインしやすい設計となっています。
一方、エアサポートドーム(空気膜構造)による「気圧と空調の風」に関する都市伝説については、屋根を支えるためにドーム内部の気圧が外気より約0.3%(約3〜4ヘクトパスカル)高く保たれている事実がベースにあります。しかし、この微小な気圧差が打球の飛距離を極端に伸ばすという科学的根拠はなく、空調の吹き出し口から生じる気流も場内の温度調節を目的とした均一な循環設計となっています。密閉空間による「無風状態」が打球の空気抵抗を一定に保ち、屋外球場のような気まぐれな逆風を受けないことが、結果的に安定した打球の伸びを生み出しているというのが真相です。