「しびれる場所を直接ほぐせば血流が良くなる」という直感的な思い込みは、手根管症候群においては極めて危険です。手首のしわの直下にある手根管内部で、すでに正中神経は圧迫されて酸素欠乏と浮腫(むくみ)を起こしています。その部位を親指でギューギューと強く押し込む行為は、傷ついた神経を上からハンマーで叩くようなものであり、神経線維への物理的ダメージを決定的に悪化させる要因となります。
セルフケアを行うにあたり、以下の「手根管症候群でやってはいけないこと」を徹底して排除してください。
・手首の屈筋支帯を直接強い力でグリグリと指圧する
・痛みを我慢しながら手首を極端に反らせる・曲げる強いストレッチ
・重いフライパンを片手で振る、雑巾を強く絞るなどの手首を強くひねり込む動作
・しびれを紛らわせるために手首を強く振り回す行為
痛覚やしびれは「これ以上圧力をかけないでほしい」という神経からの警告信号です。刺激を与えるべきは、手根管そのものではなく、神経への圧力を逃がす周囲の筋膜や前腕の筋肉群です。