『MOTHER2』のグラフィックを語る上で欠かせないのが、空間演出における「クォータービュー視点(斜め見下ろし視点)」の徹底的なこだわりです。当時の標準的だった完全な真上(トップダウン)視点とは異なり、斜め上から街やダンジョンを見下ろすカメラアングルが採用されています。
この視点設計には、ドット絵の図案制作において極めて高度な技術が要求されました。オネットの坂道、ツーソンの商業ビル、フォーサイドの摩天楼に至るまで、建物や道路に斜めのパースペクティブをかけつつ、プレイヤーが歩行する際のグリッド感を損なわない絶妙なバランスが追求されたのです。
キャラクターが移動する際も、真横や真正面だけでなく、斜め方向への移動ドットアニメーションが極めて滑らかに作画されています。影のつけ方一つをとっても、現実の太陽光を模した柔らかなグラデーションが施され、無機質なマップチップの組み合わせになりがちな2D空間に「人が暮らしている温度感」を吹き込むことに成功しました。