木山裕策の音楽人生の原点には、命の危機と向き合った壮絶な過去があります。2004年、36歳の時に左側甲状腺に悪性腫瘍(甲状腺がん)が見つかり、全摘出手術を受けることになりました。
甲状腺の手術では、声帯を司る反回神経を傷つける可能性があり、医師からは「声が出なくなるリスク、あるいは歌声が失われるリスクがある」と告げられました。当時の心境について、木山裕策は自著や特別番組のインタビューで「もし声が残るなら、自分の歌声を録音して子供たちに残したい」と切実に願った胸中を明かしています。
幸いにも手術は成功し、リハビリを経て歌声を取り戻した彼は、日本テレビ系のオーディション番組『歌スタ!!』へ挑戦。音楽プロデューサー・多胡邦夫に見出され、2008年2月6日にメジャーデビューシングル『home』をリリースしました。家族への無償の愛を歌ったこの楽曲は瞬く間に日本中へ広がり、同年の『第59回NHK紅白歌合戦』初出場という奇跡的な快挙を成し遂げました。