ネット上の口コミで「使いにくい」「不便」と批判されているポイントの多くは、故障ではなく「フランス特有の人間工学と設計思想に対する理解不足」から生じています。
象徴的なのが、パワーウィンドウスイッチの配置です。日本車やドイツ車ではドアトリムのアームレストに配置されるのが常識ですが、DS(特にDS 3やDS 4、DS 7)では、センターコンソールのシフトレバー周辺にトグルスイッチとして集約されています。これはドアパネルの造形美を極限までシンプルに保ち、内装のレザーやトリムの美しさを際立たせるための意図的なデザイン処理です。最初は直感的な操作ができず戸惑うものの、慣れれば左右の手を大きく動かさずに操作できる合理的な配置でもあります。
また、インフォテインメントの階層構造も独特です。エアコンの温度調整やシートヒーターの操作がタッチパネル内のサブメニューに集約されている場面があり、直感的な物理ダイヤル操作を好むユーザーからは「運転中に操作しづらい」と不満の声が上がることがあります。これを「欠陥」と捉えるか、「アヴァンギャルドな世界に浸るための儀式」と受け入れるかで、オーナーの満足度は天と地ほどに分かれます。