ネット上で「世紀末=荒廃した無法地帯」という図式が完成した最大の要因は、1980年代に『週刊少年ジャンプ』で連載され社会現象を巻き起こした名作バトル漫画『北斗の拳』(原作:武論尊/作画:原哲夫)にあります。
同作の冒頭で語られる「199X年、世界は核の炎に包まれた」という有名な導入以降、文明が崩壊し、暴力だけが支配する極限の世界が描かれました。主人公のケンシロウをはじめとする屈強な男たちや、徒党を組んで略奪を繰り返す暴徒たちが跋扈(ばっこ)するこの作品の舞台こそが、まさに作中で「世紀末」と呼ばれていたのです。
連載当時の1980〜1990年代は、ノストラダムスの大予言などに代表される「2000年を前に世界が滅亡するのではないか」という終末思想が社会的なブームとなっていました。そうした世相を背景に描かれた『北斗の拳』の強烈なビジュアルと世界観は当時の読者に深い衝撃を与え、やがてインターネットの黎明期から発展期にかけて、巨大掲示板「2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)」などを通じて「荒れ果てた暴力的な状況を表す最強のメタファー」としてネット文化に深く浸透していきました。