うろこの家の正式名称は「旧ハリヤー邸(旧ハリアー邸)」と呼ばれ、明治後期に外国人向けの高級借家として旧居留地に建設されたのち、大正期に現在の北野の高台へと移築されました。神戸で最初に一般公開された異人館としても知られ、国の登録有形文化財に指定されています。
来訪者を一目で圧倒するのが、建物の外壁一面を覆う無数のスレート板です。これは天然のスレート(粘板岩)を薄く加工したもので、一枚一枚が魚の鱗のように美しく重ね合わされています。使用されている枚数は約3,000枚に及び、天候や太陽光の角度によって灰褐色から深い青灰色へと繊細に表情を変える点が建築ファンを魅了してやみません。
館内に入ると、アンティーク家具や精緻な彫刻が施された暖炉、マイセンをはじめとする高級陶磁器コレクション、王室御用達のガラス工芸品が当時の豪奢な暮らしをそのまま物語っています。異国情緒という言葉だけでは片付けられない、開港期における神戸の国際色豊かな生活様式を肌で感じられる貴重な空間です。