不眠に関する俗説の中には、かえって睡眠の質を悪化させる危険なトラップが潜んでいます。代表的な誤解を是正しておきましょう。
第一に「寝酒(ナイトキャップ)」の習慣です。アルコールは寝付きを一時的に良くする錯覚を与えますが、体内で分解される過程でアセトアルデヒドが発生し、交感神経を刺激して中途覚醒や早朝覚醒を激増させます。深い睡眠(徐波睡眠)が大幅に削られるため、疲労回復効果は皆無です。
第二に「眠くなるまで布団の中で粘る」という行動です。睡眠医学では、ベッドの中で眠れずに過ごす時間が長くなるほど、脳が「ベッド=不安やイライラを感じる場所」と誤認する条件反射が形成されます。これを防ぐのが「20分ルール」です。横になって20分以上眠れない場合は、躊躇なく布団から抜け出し、照明を落とした薄暗いリビングで静かに過ごすのが鉄則です。
第三に「スマホのナイトモード(ダークモード)過信」です。画面のブルーライトをカットしても、SNSのスクロールやニュース閲覧は脳に情報処理を強制し、ドーパミンを放出させます。光の波長だけでなく「情報刺激そのもの」が脳を覚醒させている点を見落としてはなりません。