ツングースカ大爆発の真相|クレーターなき破滅的威力の謎を解く

ツングースカ大爆発の真相|クレーターなき破滅的威力の謎を解く

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爆発が発生した現地時間午前7時17分、現場から約60キロメートル離れたヴァナヴァラ交易所では、後に語り継がれる恐怖の瞬間が記録されていました。交易所で朝の作業をしていた地元住民のS・セミョーノフは、当時の聞き取り調査に対して次のような生々しい手記を残しています。「突然、北の空が真っ二つに裂け、森の上全体が炎で覆われた。激しい熱波が押し寄せ、着ていたシャツが燃え落ちるかのような灼熱を感じた直後、空が音を立てて崩れ落ち、私は数メートル吹き飛ばされて地面に叩きつけられた」というものです。

この衝撃波は地球を2周し、震源から1,000キロメートル近く離れたイルクーツクの地震計を激しく揺らしました。さらに数千キロメートル離れた西欧諸国の気象台でも大気圧の急変が観測され、ロンドンやパリの夜空は数日間にわたり、深夜にもかかわらず新聞が読めるほど明るく光り輝く「白夜現象」に見舞われました。大気上層に巻き上げられた膨大な微粒子と氷晶が、太陽光を乱反射させたためです。

現地でトナカイを放牧していた先住民族エヴェンキの人々は、数百頭のトナカイと狩猟小屋を一瞬にして失いました。遠隔地であったために奇跡的に確認された直接の人的犠牲者は数名にとどまりましたが、もしこの爆発がわずか4時間47分遅れて発生していれば、地球の自転によってロシア帝国の首都サンクトペテルブルクが直撃を受け、数十万の命が奪われていたと試算されています。シベリアの深い原生林が、近代文明の壊滅を辛うじて防いだ形でした。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。