大惨事の動画が拡散されるたびに、シャンパンタワーのネットの反応として必ず持ち上がるのが「どうせ再生数を稼ぐためのヤラセではないか」「店舗の火災保険や賠償責任保険で全額カバーできるから痛くないだろう」という憶測です。しかし、飲食業界と損保業界の現場実態を照らし合わせると、この推測は完全な誤解であると断言できます。
まず、保険適用の壁です。一般的な店舗総合保険や施設所有管理者賠償責任保険において、シャンパンタワーのような「極めて転倒リスクの高い特殊な装飾物」に対する補償には厳格な免責事項が設定されています。注水作業中の不手際や泥酔状態での接触、耐荷重計算を怠った設置による倒壊は「重過失」または「対象外の消耗品・破損」と判断されるケースが圧倒的多数を占めます。
さらに「再生数狙いの自作自演説」も現場の実情から見れば不合理極まりない見解です。数万個の破片がフロア一面に飛び散り、高級絨毯に赤ワインやシャンパンが染み込んだ場合、現場の原状復帰には専門の特殊清掃と4時間から6時間以上の休業を余儀なくされます。割れたグラスの微小な破片が客やキャストの目や手足を傷つければ業務上過失傷害の刑事責任すら問われかねず、SNSの広告収益や一時的なバズ程度では全く割に合わないのが店舗側の本音です。