秋になるとマキの木には、非常に特徴的な形状の果実が実ります。緑色と赤紫色が縦に連なった二重構造の果実は愛嬌がありますが、ネット上では「マキの実は猛毒」「触るだけで危険」といった極端な噂が散見されます。しかし、樹木生態学的な正確な事実を知れば、無用なパニックに陥る必要はありません。
マキの木 実 毒性の真実は、「食べられる部分」と「有毒な部分」が隣接して存在しているという特殊な構造にあります。串団子のように上下に合体しているうち、基部側の赤〜暗紫色に熟した膨らみは「花托(かたく)」と呼ばれる部位であり、甘みがあり生食や果実酒に利用できます。鳥たちもこの赤い花托を目当てに集まります。
一方で、先端についている緑色の球体こそが「種子」であり、ここにはポドカルプラクトン(Podocarptolide)やナギラクトン類といった毒性成分が含まれています。誤ってこの緑色の種子を人間やペット(犬・猫)が噛み砕いて多量に経口摂取した場合、激しい胃腸炎、嘔吐、下痢、腹痛などの中毒症状を引き起こす危険性があります。小さな子どもがいる家庭や室内飼育のペットが散策する庭では、実が色づく初秋に低枝の実を摘み取っておくか、落ちた種子をこまめに清掃・回収する自衛策が推奨されます。