行川アイランドが遺した社会的な影響として、避けて通れないのが特定外来生物「キョン」の大繁殖問題です。中国東南部や台湾を原産とする小型のシカ科動物であるキョンは、もともと同園の目玉動物の一つとして飼育されていました。
脱走の理由については、複数の要因が指摘されています。1980年代後半に発生した大型台風によって飼育柵が倒壊・損壊し、一部の個体が外部へ逃亡したこと、さらに閉園前後の管理体制の緩みから散発的な流出があったことが記録されています。
房総半島南部は温暖な気候で天敵となる大型肉食獣が存在せず、餌となる下草や果実が豊富であったため、逃げ出したキョンは爆発的に増殖しました。千葉県環境生活部の推計によると、生息域は勝浦市から房総半島全域へと拡大し、生息数は数万頭規模に達しています。水稲や果樹の食害、特有の甲高い鳴き声による騒音被害が深刻化しており、現在も県や各自治体による捕獲・駆除対策が集中的に行われています。