日本最高峰の焼肉チェーンとして君臨する叙々苑のマークには、見る者を惹きつける独特のダイナミズムが存在します。中央に配された筆文字のような曲線美と、それを包み込む円形の構図。この叙々苑ロゴの意味について、創業者の新井泰道(あらい たいどう)氏が残した創業期の記録やインタビューから紐解くと、極めて綿密な視覚戦略が浮かび上がってきます。
そもそも叙々苑名前の由来は、肉が網の上で「じゅうじゅう」「じょじょ」と音を立てて香ばしく焼き上がるオノマトペに着想を得ています。さらに漢字の「叙」には「思いを述べる」「語り合う」という意味があり、大切な人と心を通わせる空間にしたいという願いが込められました。この理念をビジュアル化したのが、現在の叙々苑マークの由来です。
ロゴの中央に躍動する図案は、漢字の「叙」を大胆に崩した造形であると同時に、網の上で立ち上る煙や肉の旨味、そして円満な人間関係を意味する「円(和)」を象徴しています。重厚感のある叙々苑看板デザインは、かつて「煙が充満する大衆居酒屋」というイメージが強かった焼肉店を、銀座や六本木の高級料亭と肩を並べる社交場へと昇華させるための強力な武器となったのです。