夫人の知名度が世界的に高まるにつれ、SNS上では彼女の信頼性を失墜させることを狙った悪質なフェイクニュースが急増しました。その中でも特に広く拡散されたのが、2026年秋に浮上した「オレナ夫人が訪米時、ニューヨークのカルティエで110万ドル(約1億6000万円)のジュエリーを爆買いした」という疑惑です。
この情報の出所とされたのは、自称・カルティエ元従業員の女性が告発したとするインスタグラムの動画と、そこに添えられた「日付入りの領収書画像」でした。しかし、ロイター通信、AP通信、英BBCをはじめとする各国の独立系ファクトチェック機関が詳細な裏付け取材を行った結果、この疑惑は「完全なる捏造」であることが確定しています。
事実検証の決定打となったのは、物理的なタイムラインの矛盾です。疑惑の領収書に記載されていた日時に、オレナ夫人はジョージタウン大学での公式イベントに出席し、続いてホワイトハウスでジル・バイデン米大統領夫人(当時)と共同会談を行っていたことが公開日程・各社報道映像から証明されています。物理的にニューヨークの店舗に立ち寄ることは不可能な状況でした。さらに、提示された領収書は実物の公式書式とフォントやロゴの仕様が異なっており、告発動画を投稿したアカウントも事件直前に新設された使い捨てのダミーアカウントであることが判明しました。
こうした工作は、欧米諸国や日本の世論に向けて「ウクライナへの支援金が指導者層の私利私欲に浪費されている」という疑念を植え付け、支援疲れを煽るために設計された典型的なプロパガンダです。これ以外にも「パリで数千万円の洋服を買い漁った」「海外に豪邸を購入した」といった類似の言説が定期的に流布されていますが、いずれも公的機関や報道各社の取材データによって根拠皆無のデマと断定されています。