「グリーンヒルホテル明石といえば、特別な日のランチバイキングだった」——地元・明石市在住の50代主婦は、当時の記憶を懐かしそうに振り返ります。市民の記憶に深く刻まれているのが、ホテル内の人気レストラン「シャトー」です。
かつて提供されていたランチバイキングは、シェフが腕を振るう本格的な洋食メニューや彩り豊かなデザートが手頃な価格で楽しめるとあって、ママ友の集まりや週末の家族連れで連日満席の賑わいを見せていました。明石海峡や城跡の借景を望みながら優雅な時間を過ごせる社交場として、播磨地域では確固たるブランドを築いていたのです。
しかし、飲食業界を直撃した原材料費の高騰、人手不足、そしてビュッフェ形式に対する衛生管理コストの増大が重くのしかかりました。レストラン「シャトー」のランチバイキング終了が告知された際、SNSやローカルブログには「青春の思い出の場所が消えてしまった」「明石駅前で落ち着いて会食できる場所が減って寂しい」といった悲鳴に近い口コミが殺到しました。この“食のランドマークの喪失”こそが、多くの明石市民にとって「ひとつの時代の終わり=ホテルの終焉」と心理的に結びつく最大の引き金となったのです。