成駒屋の次男坊として育った福之助を語る上で欠かせないのが、芸能界屈指の結束力を誇る家族の存在です。父は重厚な芸風で歌舞伎界の屋台骨を支える八代目中村芝翫、そして母は明るい人柄と献身的なサポートで梨園の妻を務め上げる三田寛子。この二人の間に生まれた男子三人は、まさに幼少期から歌舞伎界の注目を一身に集めてきました。
長男の中村橋之助、次男の福之助、三男の中村歌之助からなる成駒屋三兄弟は、幼少期から同じ稽古場で汗を流し、互いに切磋琢磨してきました。橋之助がリーダーシップを発揮して長男としての責任を背負い、歌之助が瑞々しく爽やかな存在感を放つなかで、福之助は兄弟の中でも一際「マイペースかつ芯の強いバランサー」としての役割を果たしています。
母・三田寛子さんはテレビ特番やインタビューにおいて、三兄弟それぞれの個性を尊重しつつも、「芸に対する厳しさと、周囲への感謝を忘れないこと」を家庭教育の根幹に据えてきたと明かしています。名門の家庭内において、過度な干渉を避けながらも温かく見守る母のスタンスが、福之助の伸びやかな個性と地に足のついた役者根性を育んだ要因と言えます。