『代表取締役刑事』の結末は、アクション刑事ドラマにありがちな大捕物や悲劇的な殉職劇とは一線を画すものでした。最終話(第45話)「さよならは別れの言葉じゃない」で描かれたのは、日常の捜査活動の延長線上にある、刑事たちの静かな別れと新たな旅立ちです。
凶悪事件の解決後、辰巳署のメンバーには人事異動や新たな任務が告げられます。これまで苦楽を共にしてきた仲間たちが、感傷に浸りすぎることなく、それぞれの持ち場へと歩みを進めていく姿が淡々と、かつ情緒豊かに描写されました。兵頭係長が見せるほろ苦い笑顔と、橘課長が背中で語る男の美学。派手なカタルシスではなく、明日に向かって生きる人間のリアルな生活感を提示したラストシーンは、多くの視聴者の涙を誘いました。
この哀愁を際立たせたのが、胸を打つ主題歌の数々です。舘ひろしが歌ったオープニングテーマ「孤独のペナルティ」やエンディングテーマ「夜を抱きしめて」は、都会の片隅で傷つきながら生きる男の孤独を甘くハスキーな歌声で歌い上げました。さらに、渡哲也による「雨降り花」の滋味深い歌声は、事件に巻き込まれた被害者や加害者の家族が背負う悲哀を包み込むような温かさを持っていました。音楽と映像が見事に融合した世界観こそが、初放送から数十年が経過してもファンの脳裏から離れない最大の理由です。