差し迫る発売スケジュールの中、カプコンUSAは社内全体を巻き込んだ「新規タイトル命名コンテスト」を緊急開催しました。全社員からアイデアを募る中で、あるスタッフが提出したのが「Resident Evil」というフレーズでした。
この英語表記を文法・意味論的に分解すると、作品の本質が驚くほど正確に浮かび上がってきます。
【Resident Evilの語源構造】
・Resident(形容詞/名詞):「居住している」「内在する」「定住者」「潜伏するもの」
・Evil(名詞/形容詞):「悪」「災厄」「不吉なもの」「邪悪」
直訳すれば「そこに潜む悪」「内在する邪悪」、あるいは「悪意ある住人」となります。初代バイオハザードの舞台は、アークレイ山地の深い森に佇む閉ざされた洋館「スペンサー邸」でした。プレイヤーは見知らぬ洋館に閉じ込められ、廊下の角を曲がるたびにゾンビや怪生物に襲われる――まさに「狂気と悪意が巣食う館の住人たち」に立ち向かうゲームデザインそのものを射抜いたネーミングだったのです。
しかし、当時の社内反応は決して満場一致の絶賛ではありませんでした。クレイマー氏の手記によれば、最初にこの案を見た際、「いかにも安っぽいB級ホラー映画のようでダサすぎる」「あまりに陳腐(cheesy)ではないか」と猛反対したスタッフもいたほどです。それでも社内投票を実施した結果、「Resident Evil」が最多票を獲得。こうして、海外向けバイオハザード英語表記としての運命が決定づけられました。