従来の図書館における最大の課題は、「静かに過ごしたい人」と「会話や交流を楽しみたい人」の利害対立だった。しかし、ここには壁による無機質な遮断が存在しない。緩やかな高低差や素材の変化、音の拡散を計算し尽くした音響設計によって、心地よい賑わいと静寂が見事に共存している。
1階のオープンスペースでは、子供たちの笑い声やカフェのカップが触れ合う音が心地よい BGM のように響く。一方で、奥へ進むにつれて静けさは深まり、集中して研究や執筆に取り組めるエリアへと自然に誘導される。空間のグラデーションが生み出す快適さは、利用者の滞在時間を飛躍的に延ばす要因となっている。