「サンタクロースの正体」を解き明かすうえで欠かせないのが、歴史的事実としてのルーツです。その原型となったのは、4世紀に小アジア(現在のトルコ領ミラ)で実在したキリスト教司教、聖ニコラウス(オランダ語でシンタクラース)の歴史です。
貧しさのあまり娘たちを身売りさせざるを得なくなった家庭の煙突から、聖ニコラウスが夜中に金貨を投げ入れ、暖炉に干してあった靴下の中に奇跡的に収まったという伝承こそが、現代の靴下とプレゼント文化の源流となりました。つまり、サンタクロースとは単なる架空のファンタジーではなく、歴史上実在した慈善事業家が時代を経て昇華した姿なのです。
さらに現代においては、国家レベルの軍事防衛組織すらもがその実在を証明する取り組みを行っています。代表例が、アメリカ軍とカナダ軍が共同運営するノーラッドサンタ追跡(NORAD Tracks Santa)です。
発端は1955年、大手百貨店シアーズが子供向けに掲載した「サンタと直接話せる電話番号」の広告に誤植があり、米軍の中枢である中央防空管制センター(CONAD、現NORAD)のホットラインにつながってしまった事件でした。当直司令官だったハリー・シャウプ大佐は、かかってきた少年の電話に対して「レーダーを確認したところ、北極から南下するサンタの反応がある」と機転を利かせて回答。以来70年以上にわたり、最新鋭の人工衛星とレーダー網を駆使してクリスマスイブに世界中を飛び回るサンタの航跡を追跡し、全世界へ多言語でライブ配信を続けています。
また、北欧フィンランドのラップランド地方にあるフィンランドサンタ村(ロヴァニエミ)では、サンタクロースが公的な執務室で年間を通して世界中の旅行者を迎え入れています。敷地内にあるサンタクロース中央郵便局には毎年世界190カ国以上から50万通を超える手紙が届き、日本からも「サンタクロースからの手紙」の返信を心待ちにするファンが絶えません。このように、歴史、外交、さらには軍事組織に至るまで、サンタクロースの存在は現実社会に深く組み込まれています。