映画『ウォーターボーイズ』のキャスト陣は、主演を務めた妻夫木聡(鈴木智役)をはじめ、玉木宏、三浦哲郁、近藤公園、金子貴俊ら、当時の若手実力派が集結していました。メガホンを取った矢口史靖監督が徹底したのは「吹き替え(スタント)なし、CGなし」という過酷なリアリズムです。
オーディションに合格したキャスト陣は、撮影前に約2〜3ヶ月にわたる地獄のシンクロ練習合宿へ放り込まれました。当時の取材記録やキャストの手記によると、その訓練は過酷を極めました。
- 基礎体力作りと立ち泳ぎの習得:足のつかない深水プールで、鼻栓をつけ何時間も立ち泳ぎ(エッグビーターキック)を継続。
- 皮膚の剥離と日焼け:連日の屋外練習により、全員の肌が真っ黒に焼け焦げ、水着の跡がくっきりと残るほど肉体が変化。
- 激しい肉体疲労と怪我:酸欠、足の激痛、耳の炎症に耐えながら、水中で人を持ち上げるリフト技を何度も反復練習。
当時、妻夫木聡と玉木宏は互いに切磋琢磨するライバルであり、極限状態を共に生き抜く戦友でした。玉木宏は後年のテレビ特番やインタビューでも「あの合宿を乗り越えられたからこそ、その後のどんな過酷な現場も弱音を吐かずに乗り切れるようになった」と述懐しています。俳優同士のリアルな疲労感、絆、そしてラストシーンの学園祭シンクロ公演で見せる達成感に満ちた涙と笑顔は、一切の演技を超えた本物のドキュメンタリーだったといえます。