なぜ食通が港町へ殺到?「カサゴの煮付け」争奪戦と価格高騰の衝撃真相

なぜ食通が港町へ殺到?「カサゴの煮付け」争奪戦と価格高騰の衝撃真相

なぜ食通が港町へ殺到?「カサゴの煮付け」争奪戦と価格高騰の衝撃真相についての真相をご紹介します。

「煮魚は煮込むものだと思っているなら、それは大きな間違いです」。神楽坂の路地裏に店を構える日本料理の店主は、立ち上る湯気の向こうで鋭く言い放つ。カサゴの身質は、マダイやヒラメと比べても水分量が多く、皮下に膨大なコラーゲンを抱えている。弱火でコトコトと長時間煮てしまえば、身はパサつき、皮は破れ、せっかくの脂が煮汁に溶け出してただの抜け殻になってしまうのだ。

プロの火入れは、むしろ「焼き」に近い緊迫感で行われる。酒と濃口醤油、本みりん、少量の砂糖を合わせた煮汁を、浅い平鍋で一気に沸騰させる。強火で泡立たせた煮汁の海へ、下処理を完璧に施したカサゴを滑り込ませる。落とし蓋の上まで煮汁を吹き上がらせ、対流する泡で魚の表面を包み込むように加熱すること約8分から9分。身に火が通る極限の瞬間を見極めて魚を引き上げ、鍋に残った煮汁だけを強火で煮詰めてとろみをつける。皿に盛った魚へ、飴色に輝く煮汁を回しかける——この短時間の一気呵成こそが、皮の弾力と身の瑞々しさを共存させる唯一の解なのだ。

中島 亮太
著者

中島 亮太

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。