後に『少女革命ウテナ』や『輪るピングドラム』を手掛け、世界的なアニメーション監督として名を馳せる幾原邦彦監督の才能が爆発している点も見逃せません。劇中に散りばめられたメタファーや象徴主義的な美術表現は、本作を唯一無二のアートへと昇華させています。
特筆すべきは、物語の鍵を握る「一輪のバラ」にまつわる見事な伏線回収です。幼い衛がフィオレに贈ったその赤いバラは、実は幼少期の月野うさぎが、生まれたばかりの弟(進悟)を見舞いに訪れた病院で、泣いていた衛に手渡した花だったという真実が終盤で明かされます。
運命の糸で結ばれていたうさぎと衛、そしてそこに迷い込んだフィオレ。三者の因果が一本の線でつながる瞬間の鳥肌が立つような構成美は、幾原監督ならではの神がかった演出力です。ガラス片が舞い散るような空間演出や、花弁の舞い落ちるスピードひとつにまで意図を込めた緻密な映像は、何度見返しても新しい発見に満ちています。