ネット上の投資フォーラムや産業論壇では、同社に関してしばしば2つの極端な言説・誤解が見受けられます。
第1の誤解は「基本特許が切れたため、中国メーカー等の低価格品に市場を奪われて衰退する」という悲観論です。確かに波動歯車の基本原理特許はとっくに満了しており、中国のLeaderdrive(緑的諧波)などが台頭しています。しかし、ハイエンドの半導体露光装置や宇宙探査機、手術支援ロボット「ダヴィンチ」のような極限環境・超高信頼性が要求される現場では、安価な代替品は採用されません。数百万回から数千万回の繰り返し動作における金属疲労の均一性や発熱制御において、同社のブランド力と実績は依然として絶対的な信頼を得ています。
第2の誤解は「ヒューマノイドロボットが登場すれば、すべての関節が同社の減速機になり無限に売れる」という過度な楽観論です。人型ロボットの関節には、衝撃吸収性に優れたダイレクトドライブ(DD)モーターや準ダイレクトドライブ(QDD)、あるいは遊星減速機が適した部位(脚部や体幹など)も存在します。波動歯車減速機は「軽量・高減速比・高精度」が求められる前腕・手首・手指関節、または高トルクを要する特定のピボット部に集中して採用される傾向があるため、ロボットの構造特性を見極めた冷静な需要予測が必要です。