下処理において最大の関門とされるのが「アク抜き」です。ネット上では「アクが抜けきらず激辛で食べられなかった」「香りがすべて飛んで無味無臭になった」という失敗談が散見されます。しかし、山椒に含まれる成分の性質を理解していれば失敗は防げます。
山椒特有の痺れる辛味成分はサンショオール、爽やかな香りはシトロネラールやリモネンという精油成分によるものです。サンショオールは熱水や水に晒すことで徐々に溶け出しますが、過度に加熱すると揮発性の香り成分が壊れてしまいます。そのため、山椒の実のアク抜きと茹で時間のバランスが仕上がりのすべてを握っています。沸騰した湯に対して約2%の塩を加え、落とし蓋をして中火で5分〜7分茹でるのが黄金律です。
茹で上がった実はすぐに冷水に取ります。この「冷水に晒す時間」によって辛味の抜け具合が決まります。以下は、茹で時間と水晒し時間による仕上がりの違いを検証した客観データです。
山椒の実のアク抜き失敗しない理由は、指の腹で実をつまんで少し弾力がある程度で火を止め、水晒しの途中で実を1粒かじって自分の舌で辛味の残り具合を確かめる「味見の工程」を取り入れる点にあります。好みの辛さになった瞬間に水から引き上げれば、絶対に抜きすぎることはありません。