身体を引き締めるプロセスにおいて、感覚的な努力は往々にして裏切りをもたらします。確実な結果を手にするためには、客観的な数値データに基づいたエネルギー収支の把握が欠かせません。
生化学において、脂肪1キロ落とすカロリーはおよそ約7,200kcalと定義されています。純粋な脂質は1gあたり9kcalですが、生体内の脂肪組織には約20%の水分や細胞膜が含まれているため、7,200kcal(9,000kcal×0.8)の赤字を作ることで1kgの体脂肪組織が分解・消費されます。したがって、1ヶ月で2キロの脂肪を削ぎ落とすために必要な総カロリー赤字は約14,400kcalとなります。
これを30日間で等分すると、1日あたりマイナス480kcal(約500kcal)のエネルギー不足状態を作り出す必要があります。この不足分を導き出すためのアンダーカロリー計算方法は以下の手順で算出します。
まず、自身のメンテナンスカロリー(体重が増減しない消費カロリー量)を特定します。簡易計算としては「除脂肪体重×約28.5」で基礎代謝を割り出し、日常の活動量(デスクワーク中心なら1.3〜1.5、立ち仕事や運動習慣があるなら1.6〜1.8)を乗じて1日の総消費エネルギー(TDEE)を求めます。例えば、TDEEが2,000kcalの成人の場合、1日あたりの摂取カロリー目安は差し引き約1,500〜1,520kcalに設定するのが生理学的な最適解となります。これが、身体に飢餓の危機感を抱かせず、リバウンドなしで痩せる理由となる防衛ラインです。