似たシチュエーションで多用される「正体不明(しょうたいふめい)」と「得体の知れない」には、明確な使い分けのポイントが存在します。
「正体不明」は、名前や国籍、物質の成分などが事実として特定されていないという客観的な状態を淡々と描写する言葉です。例えば「正体不明の飛行物体」「正体不明のウイルス」といった表現では、科学的・論理的に未確認である事実を伝えています。
一方で「得体の知れない」は、客観的事実に加えて話者の主観的な感情(警戒心、不気味さ、底知れなさ)が色濃く反映されます。「正体不明の男」と言えば身元が特定されていない男性を指しますが、「得体の知れない男」と表現すると「何か裏がありそうで不気味だ」「どこか底知れない迫力がある」といったニュアンスが加わります。状況報告なら「正体不明」、感情や警戒感を込めたいなら「得体の知れない」を選ぶのが適切です。