店を牽引するのは、「かつおちゃん」の愛称で親しまれる店主・田村めぐみ氏だ。彼女の活動は単なる飲食店経営の枠を遙かに超えている。鹿児島・枕崎や千葉・鴨川、静岡・焼津といった全国の主要なカツオ節産地を自ら足繁く訪ね、職人たちと深い信頼関係を築き上げてきた。削り節ひとつを取っても、カツオの個体差、カビ付けの回数、乾燥の度合いによって風味は千差万別だ。
彼女はそれぞれの節が持つ個性を完全に見極め、その日の削り加減や厚みをミリ単位で微調整する。生産者の顔とストーリーを直接客に語りかけながら削る姿は、まさに産地と都市を結ぶストーリーテラーだ。職人が何ヶ月も、時には1年以上かけて手塩にかけて育て上げた本枯節に、最後の命を吹き込む作業がカウンター越しに行われている。