メガホンをとった濱口竜介監督は、登場人物たちの内面的な対話や沈黙の時間を描くため、徹底的に「リアルな生活の匂い」が残る場所を探し求めた。主演を務めた西島秀俊が演じる主人公・家福が、長旅の途中で車を止め、静かにひと息つくシーンの舞台こそがここである。
店内に足を踏み入れると、撮影当時と変わらない木目のテーブルやメニュー札が壁を彩る。巡礼に訪れたファンを魅了してやまないのが、地元・山形の味覚が詰まった名物メニューの数々だ。
一番人気は、出汁の効いた旨味が体に染みわたる「芋煮定食」や、香ばしい醤油のコクが際立つ自家製ラーメン。撮影の合間にも、キャストやスタッフがこれらの温かい料理に舌鼓を打ち、心身をほぐしていたという。