隔離や嫌がらせに直面したとき、労働者はどのように立ち向かうべきか。日本労働弁護団に所属し、数々の労働事件を手がけてきた笹山尚人弁護士をはじめとする労働法専門家らは、初期対応における「証拠保全」の重要性を口を揃えて強調する。
企業が繰り出す最新の隔離手口に対抗し、違法性を立証して慰謝料請求や原職復帰を勝ち取るための具体的な実践手順は以下の通りだ。
第一に、客観的記録の徹底的なアーカイブ化である。指示された業務内容のメモ、日報のコピー、社内ポータルのアクセスログ、割り振られたタスクの異常性を示す画面キャプチャを私用端末等に保存する。退職勧奨の面談が行われる場合は、秘密録音であっても裁判証拠として認められるケースが大半であるため、必ず録音機材を作動させておく。
第二に、人事異動や業務命令に対する明確な「異議申し立て」を文書(メールや内容証明郵便)で残すことだ。一度承諾の態度を見せてしまうと、後から「合意に基づく配置転換」と会社側に主張される隙を与える。「現在の業務命令には業務上の合理性が認められず、承服しかねる」という意思を証拠の残る形で表明し続けることが、後の法的争訟で決定打となる。
第三に、行政機関および法的機関へのアプローチである。違法な退職強要やパワハラが明白な場合、管轄の労働基準監督署内の総合労働相談コーナーへ申告し、企業への助言・指導を促す。その上で、労働問題に強い弁護士を通じて不法行為に基づく損害賠償(慰謝料)請求や、労働審判の申し立てを行う。近年の裁判例では、悪質な追い出し行為に対して数百万円規模の慰謝料支払いを命じる判決も相次いでおり、泣き寝入りせず法的手続きを踏むことが最大の防御となる。