私たちが「高熱」という症状に特殊な意味を見出してしまう背景には、メディアの描く世界観も影響している。『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』のような大ヒットした医療ドラマでは、過酷な現場で倒れ込む医師や、急激な発熱とともに劇的な展開を迎える患者の姿がドラマチックに描かれる。
手塚治虫の不朽の名作『ブラック・ジャック』から現代のNetflixで配信される最新のサスペンスやドキュメンタリーに至るまで、劇的な病状は常に物語の転換点となってきた。そうした映像体験の蓄積が、「高熱さえ出れば、誰もが自分を批判せずに休ませてくれる」という幻想を視聴者の無意識下に植え付けている側面は否めない。